私はとても面倒くさがりなので、「地直し・水通し・・・」とおもうと、
面倒くさい工程がうかんできて、
「ああ、、いやだ。やりたくない」と拒絶反応がでていました。
- 汚れているわけでもないのに洗濯しなければいけない
- 水を使わないといけない
- しわを整えてきれいに干さなければいけない
- 生乾きの状態を見極めて、とりこみ、直ちにアイロンをせねばならない、など
Web上には逃げ場がないほどに、この作業について書いてあり、
脅迫か!と思うほどでした。
さて、そんな私でも、最近はこの「地直し」とうまくやっているのです。
私と同じように、面倒に感じてる方はとくに、以下の記事をよんでみてくださいね。
地直しの予備知識
地直しとは?ことばを知る
「生地を直す」という文字通り、生地のゆがみをとることです。
地直し・地伸し・水通しのどの言葉も、生地のゆがみをとるという目的は変わりません。
- 生地をひっぱって整形しアイロンで処理する方法、や
- 水に浸して処理する方法、などがあります。
水通しとは?ことばを知る
洗濯機や、バケツなどをつかって「生地を水に通す」ことです。
水に濡らして終わりではなく、ある程度乾かしたあと、アイロンが必要になります。
作業効果とは?必要性を知る
生地ってそんなにゆがんでるの?
無地のシーチングのように、
手芸屋さんでお手軽に手にすることができる「日本で量産されている生地」は
一般的に仕上げの段階で防縮加工がほどこされているようなので、ほぼ地直しは必要ないようです。
以前ですが、手持ちの布がコットン100%の生地だったのですが、多少ゆがんでいる?といいますか、
チェック柄のマス目がなんだか正方形でないような・・・と思うことがありました。
地直しをせず、そのまま切り進めてみたことがあるのですが、
仮あわせしたとき、チェックのマス目1個分(1cm角)ほどずれていました。
きっとこのまま縫い進めて(柄が合っていないので見ため的にも仕上がりはイマイチですが)
完成したとしても、洗濯したらおかしなことになるんだろうなと想像できました。
この生地が国産かどうかはわかりませんが、
やはりなんらかの「ゆがみ直し」は必要だと感じた瞬間でした。
ほかの生地もじっくり、よく見てみると、線が1直線でない部分があったりしますし・・・。
地直しは、ほぼかならず必要なのかもしれないという結論をに至りました。
生地に接着芯を貼ったら、付けたしるしとズレた?生地が巻いた?
接着芯はアイロンで接着しますが、アイロンの熱によって生地が縮んだのでしょう。
生地を地直ししていないと、こういう問題も起こりえます。
この場合は、生地・接着芯ともに切りだしなおし、作りなおさなければいけません。
地直しが必要な布の種類について
綿や麻の繊維は「収縮しやすい」という特性をもっています。
逆にポリエステルなどの合成繊維は「収縮しづらい」という特性をもっています。
繊維の特性を理解して、どの程度の地直しが必要なのか、判断しましょう。
地直しの必要がなくても、家に布をもって帰ってきたら、折りじわができているはずです。
私は、「地直し」と思わず、しわを伸ばすために、基本的にアイロンをかけることにしています。
型も取りやすくなりますし、地直しということばを意識しなくてもいいので作業が気楽になりました。
素材別、地直しの必要性とアイロンについて
上に書いたように、仕上げの段階で防縮加工されているものが多いので、
ここでは、軽度の地直し(アイロン)についてを表にしました。
アイロン単体の地直しでは、調整の程度が軽いです。
どうみても縮みそうな、加工されていないっぽい生地でしたら、
アイロンだけではなく、本来の地直しの作業を、以後の説明の通りにおこなってください。
| 素材 | 地直し | アイロン | 浸透度 | 温度 | スチーム | 備考 |
| 綿(コットン) | ○ | ○ | 霧吹き程度 | 160度~170度 | △ | しわとり程度。空アイロンでもOK |
| 麻(リネン) | ○ | ○ | 生乾き程度 | 180度~190度 | ○ | しわとり程度。 |
| 毛(ウール) | △ | ○ | 湿る程度に霧吹き | 180度 | ○ | 地直しはほぼ必要ない。アイロンを1cmほど浮かせてスチームだけをあてる。 |
| 絹(シルク) | 不要 | ○ | なし | 130度~140度 | NG | 地直しは必要ない。しわとりなら裏面から軽くアイロンする。 |
| 毛足のある布 | △ | ○ | 霧吹き程度 | 140度~150度 | ○ | コーデュロイやベルベットは布を中表にたたみ毛足を寝かせないようアイロンする。必要ならあて布をする。 |
| 合成繊維 | 不要 | ーー | ーー | ーー | なし | しわとり程度。 |
| 接着芯 | △ | なし | 霧吹き程度 | 自然乾燥 | なし | 地直しはほぼ必要ない。 |
地直しに必要な道具について
- 目打ち・・・手でもいい
- アイロン
- 霧吹き・・・ない場合はスチームだけで対応する。
- 水をはった、いれもの・・・生地がつかる程度のおおきさ。(本来の水通し作業でつかう)
- 干すスペース・・・まっすぐに整えて干せる場所。(本来の水通し作業でつかう)
- 洗濯機はつかわない。
地直しの準備
基準線を知る
1. 生地の端(上下)の糸を、1本引き抜きます。
右から左までいっきに引き抜けるところを引き抜いてください。
手で糸をとりだしにくい場合は、目打ちをつかうといいです。
2. 引き抜いた糸の線(上下)で裁断する。
線の上をていねいにまっすぐ切ります。
ゆっくりでかまいません、まっすぐ切ります。
地直しの仕方
ここでは、3段階に分けて説明します。
水通しが不要だと判断されたのであれば、以下の「水通し」の部分は読み飛ばしていただいてかまいません。
水通し作業をおこなう
キッチンやバスルームで作業します。
- 下準備を行なった生地を、中表にたたみます。
- 容器に水をはり、生地をひたします。
- タイマーを1時間にセットして放置します。1時間以上でもかまいません。
- 1時間後に、容器から水を捨てます。
- たたんだままの生地を、容器内でかるく、手のひらで押ししぼります。(水を切る)
- 干すスペースへ容器ごとはこび、布をひろげ干します。(水がポタポタしたたる状態)
- 数時間後、半乾きの状態でとりこみます。(アイロンで乾く程度)
生地を手でひっぱって調整する
ふだんの作業スペースで作業します。
水通しでとりこんだ生地、または、下準備を行なった生地を用意します。
- テーブルに、裏面を上にして生地をひろげます。
- 裁ち目が直角になるように、斜めにひっぱったり、部分的に両てのひらをつかってすこしずつ伸ばします。テーブルの角や直線にあわせて、ひっぱっていきます。
- 半乾きの生地は、かなり強くひっぱって大丈夫です。
- みみがつれている場合は、みみに切りこみを入れます。この場合、ひっぱったときに裂けやすいので注意してください
お洋服用の生地は、生地自体で数mあると思いますが、ていねいに少しずつひっぱって伸ばしていきます。
アイロンで生地を定着させる
生地の、みみのある両はしを「たて」として、切れ端となっている上下を「よこ」とします。
- アイロン台に、裏面を上にして、生地をひろげます。
- 必要に応じて、霧吹きします。
- アイロン台の上で、最後の調整をおこないます。
- 調整できたところから、みみにそって「たて→直角にまがって→よこ」の順にアイロンをかけます。空アイロンかスチームアイロンかの判断、素材に対して適切なアイロンの温度は、上の表を参考にしてください。
- ひたすら2〜3の作業をくりかえします。
おわりに
読むとむずかしく感じますが、結局のところ私がしている作業は、
このページの地直しの準備と、5-2〜5-3だけです。いえ、むしろ、5-3だけのほうが多いかもしれません。
織り目をみて、霧吹きをしてちょこっと目を整えてアイロンするだけ。
ゆがみがはげしそうだな、と思ったらちゃんと地直しの準備作業もします。
水通しはめったにしません。霧吹きかスチームだけで処理してしまいます。
ゆがみ、縮みそうな感覚になれてきたから、地直しの作業が簡単に思えてきたのかもしれませんが
最近はささっと処理できるようになって、億劫じゃなくなりました。
地直しをすることによって、「裏表がよくわからなくなる」というときもあります。
裏表がわかりづらい無地などの場合は、生地の表・裏の見分け方についても読んでみてください。